OpenClaw + Sentry APIを活用した目標応答時間の自動算出(AI活用事例)
はじめに
負荷試験の計画において、APIごとの目標応答時間(SLO)をどう設定するかは頭を悩ませる問題の一つです。全体の画面遷移時間要件(例えば1500ms以内)はあっても、そこからAPI単体にどれだけの時間を割り当てられるか(API予算)を正確に見積もるには、クライアント側の処理時間(描画や状態管理など)の実績データが必要です。
今回は、AIエージェントプラットフォーム「OpenClaw」と「Sentry API」を組み合わせ、実測データに基づいた精度の高いAPI目標応答時間を自動算出した活用事例をご紹介します。
課題
あるプロジェクトにおいて、「画面の描画完了まで1500ms」というパフォーマンス要件がありました。API側の負荷試験を実施するにあたり、1500msのうちAPI通信にどれくらいの時間を許容できるのか(API予算)、根拠のある数値を出す必要がありました。
単純に「APIは500ms」と固定してしまうと、クライアントの処理が重い画面では要件を満たせない可能性があります。そこで、Sentryに蓄積された日々の利用データ(TTFD: Time To Full Display 等)を活用し、以下の式から予算を逆算することにしました。
- クライアントオーバーヘッド = 画面表示の所要時間 - API通信の所要時間
- API予算 = 1500ms - クライアントオーバーヘッド - 安全バッファ(100ms)
解決アプローチ(OpenClawによる自動化)
この分析を全画面手作業で行うのは手間がかかります。そこで、普段使っているチャットツールからAIアシスタント(OpenClaw)に指示を出し、データの抽出から計算、レポート作成までを自動化しました。
具体的には、以下のプロセスをOpenClawが自律的に実行しました。
- Sentry APIの実行準備 提供されたAPIトークンを用いて、対象プロジェクトのトランザクション情報を取得するためのスクリプトを自動生成。
- データの抽出と計算
直近14日間のデータから主要な画面(
ui.load)を抽出し、モバイル環境特有のノイズ(バックグラウンド移行など)を排除するため、p50(中央値)ベースでクライアントオーバーヘッドを算出。 - Markdownレポートの生成 計算結果を表形式にまとめ、「APIの目標応答時間(予算)」としてチャットツール上に直接レポートを出力。
結果
OpenClawから返ってきたレポートにより、各画面における純粋なクライアントオーバーヘッドが可視化されました(多くの画面で数十ms程度と非常に優秀であることが判明しました)。 結果として、1500msの要件を満たすためには、**API側で1300ms前後(バッファ込み)**で応答できれば良い、という明確な目標値(SLO)が数学的な根拠をもって導き出されました。
この数値はそのまま負荷試験ツール(k6やJMeterなど)のThreshold(しきい値)として設定でき、計画書のエビデンスとしても強力なものになりました。
おわりに
今回は、AIにただ質問に答えてもらうだけでなく、外部API(Sentry)を自律的に叩かせてデータ分析とレポート生成までを完結させた事例でした。OpenClawのようなエージェントプラットフォームを活用することで、パフォーマンス分析などのエンジニアリングタスクも対話ベースで素早く完了できるため、非常に強力だと感じています。